収益物件の商談に行ってきました。
名古屋駅前のKITTEにある事務所には、モデルルームもあります。
【名古屋へ進出、初年度】
この会社は東京を中心に営業しているアパートメーカーです。
現在(2017年3月)の管理戸数は、約2万戸、入居率99%
年商は810億円
とのことです。
上場を目指し、関西、東海に進出しています。
名古屋の事務所は、KITTEの7Fにあります。
家賃の高そうなビルに、大きな事務所。
会社の気合が伝わってきます。
【今回の商談について】
前回の商談では、およその概要を聞かせてもらっています。
地主に対する、営業もしている一方で、
土地を購入して建物を建設するということもやっているとのことでした。
とうわけで、今回は収益物件の商談です。
【一般的な土地購入によるプランの流れ】
一般的に
土地を購入して建物を建てるプロジェクトの場合、
建築業者としての手順は次のとおりです。
(1)売土地情報の収集と選択
(多くは建築会社が土地情報を掴みます
前に投資家が情報を得る場合もあります)
(2)建築プランの策定
(3)家賃査定
(4)事業計画作成
(5)投資家への案内
(6)借入を伴う場合は投資者への金融機関の融資審査
(7)土地購入、建築契約
という流れです。
つまり
土地を購入してアパートを立てる人の融資が確定してから初めて
投資家が土地の買い付けをします。
最近では、
(6)の銀行の審査の間に、土地が流れてしまうケースも多いようです。
もちろん、手付金を支払えば、有利に買うことができますが
もし、事業計画がイマイチだったり
融資がつかなかった場合、手付金が無駄になります。
現実的には、できないですね。
口約束のお願いというのも、ある程度可能ですが、
売る方も、早く売りたいはずです。
それで、すぐに買うというお客さんが見つかれば、そちらに流れてしまうわけです。
早く融資判断がでればよいのですが
不動産融資の締め付けもあり
審査も長引く傾向になります。
さて、この会社の特徴は
土地を購入している
ということです。
一般的には、上記の説明のように
土地の抑えで、手付金が流れてしまうケースもあります。
しかし
MDIさんの場合はすでに土地を購入しているのです!
ですから、手付金を失うリスクはありません。
MDIさんとの契約がまとまれば最初に申込金が発生しますが
(多くの企業でも同様です)
融資流れなどの理由で契約を解除する場合でも
申込金は全額返金となるそうです。
一般的には、建築会社は土地を購入するためには、資金が必要です。
万が一売れなければ、不良在庫になります。
できれば、避けたいものです。
名古屋地区の実績を作るために、
・現在だけのやり方なのか
・将来的にも土地を購入していくのか
は、わかりません。
何れにしても、会社のやる気が伝わってきます。
【今回の案件の収益性は、いまひとつ】
この会社としては、将来性を考えて
「駅から概ね5分以内の物件に限定する方針」
ということです。
今回の案件は
立地が良いため、地価がちょっと高いです。
でも、相場よりかなり安く購入しています。
場所は地下鉄車道から徒歩5分以内、新栄からも5〜6分の立地です。
事業計画は概算値ですので、ざっくりと 書いていきます。
(1)土地購入費 15600万円
(2)土地購入経費 680万円(含:土地不動産取得税)
(3)建築費 18100万円(外部工事含)
(4)建築諸経費 800万円(含:期中利息、建物不動産取得税)
(5)建築消費税 1450万円
総投資 36630万円
うち建築分 20350万円
建物規模 鉄骨造3F 1K24戸
家賃収入 1800万円 (家賃61000円x24、P12000x3として算出)
総収入 1915万円(上記プラス共益費4000円として算出)
単純利回り 4.9% (家賃収入/総投資額)
収益物件利回り 5.2% (総収入/総投資額)
ちなみに建物単体の利回りは
単純利回り 8.8% (家賃収入/建築投資)
でした。
事業計画の精度については
費用の漏れもありませんし、土地の情報(権利情報やハザードマップ)もあって
よくできていると思いました。
長期計画(30年)については、書かれていませんでした。
【この収益物件の評価は】
土地の購入も含めた収益物件としての利回りは、
私の基準としては、厳しいです。
(私の基準 総投資利回り 6%以上が検討ライン)
土地の立地がよいので
将来的に土地の価値が落ちない前提であれば
納得できる物件とも言えませす。
つまり土地を所有するための手段という考え方です。
名古屋郊外の地主さんであれば
資金の組み替えをするために
郊外の土地を、今のうちに売却して自己資金とすれば
投資する価値はあります。
相続税対策にもなりますし、将来の子孫には、郊外の土地ではなく
名古屋市中心部の土地を残すことができます。
例えば、一宮市とか、西三河の地主さんが
300坪を30万円で売却すれば、9000万円になります。
今回の案件でも
9000万円の自己資金があれば
ローンは、27630万円
ローンに対する収入は
1800万円 / 27630万円=6.5%
多少利回りがアップしました。
この立地であれば、将来的な家賃の低下は少ないと予測できますので
6.5%であれば、30年ローン、修繕費などは賄えると思います。
ですが、まだまだ、ですね。
地元の300坪の土地と 引き換えであれば、
もう少し収益性があって毎月の収入も得たいところです。
相続税対策という効果を考えると、
この条件でも、OKという場合もあります。
土地の価格に対して
建物の価格が小さいので、どうしても、利回りが小さくなります。
都心部で容積率の高い土地の場合
できるだけ大きな建物を作る方が得策です。
【建築コスト力は?】
今回の事例では
24戸の建設費(経費を含む)が、20350万円
1戸あたりでは、848万
建築費だけでは 709万
コストメリットは、まずまずありそうですね。
土地との組み合わせでは、いい案件が出るかもしれません。
1戸あたり850万であれば
建物単体では
家賃6万円で、利回りが8.47% (6x12 / 850)
立地によって、8〜9%の間ということになりそうです。
9%とすると
土地代と建築費が同じなら、利回りは半分の4.5%
土地代が建築費の半分なら、利回りは、6%
60坪の土地に、3戸x3Fの9戸を立てたとして
建築費が850x9=7650万円
土地代が坪あたり60万で、3600万
このあたりが採算ラインと思われます。
(1)駅近のいい立地の場合、なかなか坪60万の土地は見つからないこと
(2)住宅地では3Fの建物が建てにくいこと
このあたりをクリアしないといけないですね。
個人的に気になるのは、狭小地の4階建です。
2戸x4Fがローコストで立てられると、めちゃくちゃ使い勝手の良い会社になります。